谷川雪洞講習

写真提供:正人
3月6日(金)
 谷川岳ロープウエイの天神平駅に到着した我々を待っていたのは、あいにくの強い 雨。
視界不良の天神尾根を歩きはじめる。2時間ほどして、避難小屋から突き出して いる金属棒に出くわす。
ツベートさんが雪洞を掘れそうな斜面を発見したので、ここ に雪洞をつくって2泊することになる。
 
ザック類をまとめて雨に濡れぬようにツエルトで覆う。
雪洞予定の場所の上には目印にゾンデを突き刺しておく。まずは2カ所で2人がスコップで穴を掘る。
他の人間 も後ろで貯まっていく雪をかきだしていく。しばらくすると2人が同時に作業できる 余裕が生まれ、
速いペースで空間が広がる。穴の中に入ってしまえば、雨は当たらな いし、
なかなかいい感じだ。なんとか今回のパーティ7人が寝られそうな空間ができあがる。

荷物置き場となる棚をつくる。二つの穴のうち一つを埋める。もう一つの穴の下の 方を掘り下げ、
出入り口を作るとともに、穴の上の方をふさいでいく。こうすると冷 たい空気が外から入らないので温かいという。
最後は左官仕事のようにでこぼこの壁 面を滑らかにし、雨漏りを予防する。
初めての雪胴生活は確かになかなかいいものだ。銀マットとエアマットを敷けば冷 たくならない。
もっとも雨の中を歩いたせいで、服や荷物が湿っていて快適とはいい がたい。
夕食時には壁の雪を削って溶かし、水をつくった。家にも飲料にもなるというのはな んとも不思議な感じ。

3月7日(土)
本日は雪。朝トイレにいこうと雪胴を出ようとしたら、入り口に新雪が貯まってい て、
全身雪まみれになってしまった。谷川岳頂上をめざす。
ホワイトアウト・ナビ ゲーションをしながら登るのだが、ところどころ強風が吹き荒れ、歩くのがやっとに なってくる。
途中ツベートさんが、この下は崖だから滑落に注意して、と叫んだが、 視界がないのでどのくらい危険なのかわからない。
12時を過ぎてシャリばて気味になってきたころ、だだっ広い平原状のところに来 る。
風はまずます強くなり、吹き飛ばされそうになる。なんでこんなことをやってい るんだ、と思い始めた頃、肩の小屋に到着。

凍り付いていたドアを何とか開けて、きれいな小屋の中でしばし昼食と休憩。
暖房がなくてそのうち身体が冷えてきたため、体操やストレッチをする。
悪天候のため、谷川岳登頂は断念し、雪胴に引き返すことになる。
帰路は風も次第に収まり、落ち着いてナビゲーションの練習が出来るようになる。
途中、ツベートさんはクレパス状の落とし穴にはまる。雨の後のせいか、ところどこ ろに空間が空いているようだ。

雪洞が近づいた頃、白黒の世界の間にブルーの空と山波が見え始め、神秘的な光景。
次第に麓の景色も見えてくる。午前中いた山とは思えない。天候さえ良ければ雪 山はとても美しい。
雪洞2泊目はさらに快適にするため、出入り口を掘り下げて通行しやすくし、荷物 置きの棚も拡張する。
風に吹かれて服はドライになった。が、エアマットが濡れてき ているし、時々天井からは水が落ちてくる。

3月8日(日)
天気は快晴。荷物撤収後、雪洞の上に何人か乗ってみるが、まったく壊れない。入り口をふさぎ、トイレも潰す。
天神平近くまで戻り、まずビーコン講習を行う。次に順番に一人ずつ全員が雪の中 に埋められる訓練。
雪崩がどれほどつらいものなのか疑似体験する。昔運動部合宿で やった「布団蒸し」を思い出す。
埋められていたのはせいぜい2,3分で、すぐに助 けてもらえることがわかっているからまだいいが、
実際、雪崩にあって埋まったたら パニックになってしまいそうだ。
次にピッケルを使った滑落防止訓練。さらに実際に雪崩があったという想定で、
4 人が1列に並んでゾンデを雪に差し、遭難者を探す合同捜索訓練。時間との勝負なの で、かなりへとへとになる。

帰りは再び天神平ロープウエイ駅から戻る。湯檜曽温泉に立ち寄り汗を流す。
雪と戯れ、雪山の厳しさを体験した3日間だった。               

(講習生S)

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